記事: フィラリア予防はいつから始める?正しい予防方法とよくある質問を獣医師が解説

フィラリア予防はいつから始める?正しい予防方法とよくある質問を獣医師が解説
毎年4月頃になると、動物病院から「フィラリア予防をしましょう」と案内を受けますよね。
しかし、フィラリア予防に関して、
「そもそもフィラリア症って?」
「フィラリア予防薬は本当に必要なの?」
「予防薬はいつからいつまで飲ませればいいの?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
実は、近年は気候の変動などにより蚊の活動する時期が長くなる傾向があります。
それに伴い、予防薬を与える期間も長くなっていることをご存じでしょうか?
本記事では、犬のフィラリア症や予防薬の投与期間、予防の必要性、予防薬の種類、よくある質問について、獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、正しいフィラリアの予防方法を身につけましょう。

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浅川 雅清
2016年日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
同年より都内のペットショップ併設の動物病院にて勤務。
1年間の院長経験を経て、2024年よりフリーランスとして独立。
現在は犬、猫、うさぎの診療業務の他、往診やオンラインでの診察・相談、コラム作成・監修、商品監修なども行っている。
犬のフィラリア症とは?

犬のフィラリア症の原因である犬糸状虫(フィラリア)は、蚊の吸血を介して犬の体内に侵入します。
侵入した幼虫は、数か月かけて血管内を移動し、心臓や肺動脈へ寄生します。
その結果、進行すると呼吸困難や腹水、重度の心不全、貧血などを引き起こし、死に至ることも少なくありません。
フィラリア予防薬は、この「体内に侵入した直後の幼虫」を駆除することで、成虫が寄生することを防ぐお薬です。
フィラリア症は、予防薬を適切に使用することで高い確率で予防することができます。
そのため、フィラリア予防薬は愛犬の健康を守るために必要不可欠なお薬です。
フィラリア予防はいつから始める?

ではフィラリア予防はいつから与えるべきなのでしょうか?
一般的には最低でも、蚊が出始めてから1か月以内に開始します。
しかし前述の通り、最近は蚊が出る期間が長くなる傾向があるため、早めにフィラリア予防をスタートすることが大切です。
特に今年は暖かく、4月から既に蚊が出現している地域もあるので、注意しましょう。
また、子犬では、生後2か月頃からフィラリア予防を行うことが一般的です。
まだフィラリア予防を始めていない場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
フィラリアはいつからいつまで予防すべき?

今までのフィラリア予防では、蚊がいる季節のみ投薬することが一般的でした。
しかし現在では、米国犬糸状虫学会から、1年を通してフィラリア予防を行う「通年予防」が推奨されています。
近年は、気候変動の影響で蚊の活動期間が長くなる傾向があり、地域によっては冬でも蚊が確認されるようになりました。
そのため、フィラリア症は季節限定の予防では防ぎきれない時代になっています。
まだフィラリア予防を行っていない場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
冬に蚊が少なくなるのは事実ですが、フィラリアの感染リスクはゼロではないことに注意が必要です。
(参考) 犬における犬糸状虫感染症の予防・診断・治療https://d3ft8sckhnqim2.cloudfront.net/images/AHS_Canine_Guidelines_JP_19FEB2025_FINAL.pdf
フィラリア予防前に検査は必要?

基本的に、フィラリア予防を行う前には、フィラリアに感染していないかどうかの血液検査が必要となります。
その理由は、すでにフィラリアに感染している犬に予防薬を与えると、予期せぬ副反応が起こる可能性があるためです。
愛犬の健康を守るためにも、投薬する前に必ず血液検査を行いましょう。
ただし例外として、生後数か月の子犬でフィラリア予防を始める場合は、フィラリア検査をせずに予防薬を与えることもあります。
犬のフィラリア予防薬の種類とは?

①チュアブルタイプ
チュアブルタイプのフィラリア予防薬は、美味しい味がついていて、おやつ感覚で投薬できる予防薬です。
多くの犬が嫌がらずに食べてくれるため、犬を飼うのが初めての飼い主様でも与えやすいこともメリットの一つです。
また製品によっては、ノミやダニ、おなかの寄生虫の予防も同時に行うことができます。
②錠剤タイプ
錠剤タイプのフィラリア予防薬は、一般的なお薬と同じ形状の予防薬です。
粒が小さいため、好きなおやつやトッピングに混ぜて与えることができます。
最近ではフレーバーがついた錠剤タイプの製品もありますので、愛犬に合ったお薬を選んであげましょう。
ただし、一部の予防薬には、コリー系の犬種には適さない種類があるため、注意が必要です。
③スポットタイプ
スポットタイプのフィラリア予防薬は、皮膚に塗布する方法で使用します。
首元などの皮膚に直接滴下することで、予防薬の成分を皮膚から吸収させる方法です。
メリットとしては、飼い主様と愛犬への投薬のストレスが少ないことが挙げられます。
ただし、使用前には皮膚の状態を確認し、異常がないことを確かめたうえで使用することが重要です。
また、使用後にシャンプーができない、塗布した部位に脱毛が起こる可能性があるなどのデメリットもあるので、注意しましょう。
フィラリアに感染したときの症状は?

では、もし愛犬がフィラリアに感染した場合は、どのような症状が見られるのでしょうか?
まず、感染の初期では症状が見られないことも少なくありません。
病状が進行するにつれて、
- 咳をする
- 疲れやすくなる
- 呼吸が苦しそう
- お腹が膨れている
といった様子が見られることがあります。
また、まれに「急性大静脈症候群」と呼ばれる病態を引き起こし、突然真っ赤な尿(血色素尿)を出し、急に病状が悪化するケースもあります。
さらに、一度フィラリアの成虫が心臓に寄生すると、長期にわたる内科治療が必要になります。
そのうえ、内科治療には血栓症などの副作用のリスクも伴い、完全にフィラリアを駆除することが難しい場合もあります。
病状が進行している場合は外科手術が必要になることもあり、愛犬への大きな負担は避けられません。
そのため、フィラリア予防薬で感染を未然に防ぐことがとても大切です。
フィラリア予防薬に関するよくある質問

Q1.フィラリア予防薬を飲ませ忘れてしまった場合は?
フィラリア予防薬を飲ませ忘れてしまった場合は、まずはかかりつけの獣医師に相談しましょう。
一般的に、飲ませ忘れた期間が1~2か月程度であれば、気づいた段階で投与することが多いですが、愛犬の健康状態や地域により判断が異なるため、自己判断せず必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。
また、フィラリア予防薬を飲ませ忘れた場合は、感染していないか血液検査を行うことが一般的です。
状況によって、短い期間の飲み忘れであれば検査を必要としない場合もありますが、飲み忘れてから6か月ほど経った時点で検査を受けることが多いです。
Q2.飲ませた後に吐いてしまったらどうすればいいですか?
フィラリア予防薬を投与した直後に嘔吐した場合は、成分が十分に吸収されていない可能性があるため、再度フィラリア予防薬を投与することが多いです。
また、吐物にフィラリア予防薬が含まれているかもチェックしましょう。
もし、投与してから数時間後に嘔吐があった場合は、フィラリア予防薬はある程度吸収されている可能性があるものの、確実ではありません。
そのときの状況により再度投与すべきかどうか異なりますので、自己判断せず動物病院に相談しましょう。
Q3.愛犬がフィラリア予防薬を飲むのを嫌がる場合の対処法は?
最近のフィラリア予防薬では、美味しいフレーバーがつけられているチュアブルタイプが主流となっています。
もし錠剤タイプを使用している場合は、チュアブルタイプへ変更することが対処法の1つです。
また、チュアブルタイプを食べない場合は、錠剤タイプを好きなおやつや投薬補助おやつなどに包んで与える方法もあります。
それでも飲むのを嫌がる場合は、背中につけるスポットタイプや、注射で投与するタイプの予防薬もありますので、動物病院に相談してみるとよいでしょう。
まとめ

フィラリア症は、感染すると命に関わる重大な感染症です。
一方、フィラリア予防薬はとても簡単に投与できるうえ安全性も高く、高い確率でフィラリア症を予防することができます。
また近年では、フィラリア予防は通年で行うことが推奨されているため、予防期間についてもかかりつけの獣医師と相談しましょう。
現在は投薬が苦手な愛犬でも、さまざまな形状のフィラリア予防薬から適切なものを選ぶことで、無理なく予防を行うことができます。
今回の記事を参考に、ぜひ今日から通年でのフィラリア予防を行い、愛犬の健康を守る習慣をつけていきましょう。

